森山未來版『Hedwig and the Angry Inch』を観てきました。
ネタバレをしないで書くのはムズカシイ、特に批判の場合は(汗)。
まず前提として。
演者は素晴らしかったです。
特に森山未來。
普通にファンになりました。
キレのある体、そしてムーブ。
唄の表現力も必要充分。
ステージ上での存在感も、思い切りの良い演技の冴えも見応えがありました。
演奏陣も素敵で、イツァーク役の後藤まりこもなかなか堂に入ったエキセントリック。
天使属性は余計と思いましたが、これは演出の罪ですね(謎)。
つまりは演者に不満は無い。
不満を感じたのは、脚本、そして訳詩。
まぁね。
三回目の国内版ともなれば、製作者に余計な力瘤が入るのも良く判ります。
一回目は国内版というだけでも意味があり、二回目はブラッシュアップの価値があり、さて三回目ともなれば新機軸!と思うのもモノヅクリの方々としては極自然な発想ではあるのでしょう。
そして、これは重要なのですが311以降の国内エンタメが、この未曾有の大惨事から無重力でいられるのは相当に困難な訳です。
でもだからといって率先して踏み台にせんでも、とは思いました(謎)。
具体的には書けませんが、311を踏み台にした所為で、主人公ヘドウィグの孤独の原因、
『カタワレ探し』
の意味自体がすり替わってしまった。
居場所の無さの其の発生理由が変わってしまった。
マイノリティは『セクシャル』なだけで充分だった。
現代を反映しすぎたんですね、つまりは。
とZoikhemは思うのです。
ネタバレ無しではこれが限界(汗)。
で、訳詩に関しては、超名曲である
『Midnight Radio』
に関してだけです。
でも其れがでかすぎる。
作品自体の問い掛けですらある
『マイノリティの立ち方』
が抜け落ちてしまっている気がします、今回の訳詩では。
Here's to Patti
And Tina
And Yoko
Aretha
And Nona
And Nico
And me
And all the strange rock and rollers
You know you're doing all right
So hold on to each other
You gotta hold on tonight
ここで羅列される名前が何故に有名女性ロッカーばかりなのか(男性もありに変えられていました)。
And you're spinning
Your new 45's
All the misfits and the losers
Yeah, you know you're rock and rollers
Spinning to your rock and roll
この『ハブテモノ賛歌』にZoikhemなどは何度勇気付けられたことか。
実際に【misfits and the losers】である身には強く響くんですよ、この歌詞が(涙)。
うん、ニュアンスが変えられていました(汗)。
非常に残念。
でも悪いことばかりでは無くて。
現世感を強く打ち出した所為で、少なくともコメディパートは素敵に下世話で楽しかったです。
振り切った演技も効果的でした。
森山未來が時にKABAちゃんに見えた、というのはたぶん誉め言葉でしょう。
…逆に、シリアスパートへの切り替えが上滑りに感じたんですけども、あ、結局批判になってしまった(汗)。
いかんいかん。
基本的にはお勧めなのです(笑)。
あと数日しか東京公演はありませんが、是非とも
『前方のスタンディングエリア』
でロックのライブ然な態度でご鑑賞されることをお薦めいたします。
色々と楽しめますよ(謎)。
安いし(笑)。
Hedwig and the Angry Inch - Midnight Radio
追加された刺青が少し見える
もう少し丁寧な編集をすればもっとよく判るのですが、それはまたいずれ。
仕舞
Zoikhem