2007/Apr/13 Fri | Zoikhemの必修
無為自然?有為自然?
『人』と『自然』を別個の概念、あるいは優越する概念、いずれにしろ『人を自然に含まない視点』、で語りたがる向きほど、『人と他種の動植物の壁』を薄く見積もる傾向があるようです。
不思議なことに。
Zoikhemには『人為』は、それを『自然』と対応する形で観測するならば『無為』の一種であるとしか見えないのです。
人もまた当然に、天然自然の事象なのですから。
鳥が枯れ枝で巣を設営する行為と、人がブルドーザーで林野を造成して新興住宅地を作る行為の間には本質的な違いは無いはずです。
在るとするならば、それは『人を自然からの除外物、多くの場合は優越物』として観測しているからです。
Zoikhemは其れを人の傲慢であると思います。
って、なんだか富野っぽい言い回しですけども(汗)。
人為は無為(対象が人間を当然に含む『自然』である場合)、其れがZoikhemの認識です。
Zoikhemが疑問を呈した、人の認識や権能を、他のあらゆる事象より優越する属性として切り離した、残りが『自然』という認識。
英語のnatureは成り立ちからして『これ』に近いように思えます。
異なる文化、異なる言語であるのですから、似て非なる認識が在って然るべきですが、似て非なることを全く無視して『自然』を語ることには大きな危惧を覚えます。
たとえば、捕鯨問題とかは、そういった似て非なる概念の混同がその遠因になっていると思えるからです。
さて、其れを踏まえて何故にnatureの文化圏では、逆に異種間の壁を薄く見積もる傾向があるのでしょうか?
前提として『そういった傾向がある』と断言しておりますが、欧米のアニメ映画の異種間協調のあまりの溢れっぷりを見て頂ければ少なくとも暴言とまではいえないと感じていただけるのではないでしょうか(汗)?
同じ種であるはずの『ヒト』ですら、文明の、文化の、そして個の衝突から逃げられないというのに、何故にnature認識の方々は、『種の壁』を不可知で居られるのでしょうか?
ペンギンだけの動物映画とかなら兎も角(笑)、平気で異種を、さらに言うなら草食動物と肉食動物なんかを協調させてしまう、その剛腕。
Zoikhemなどは、その剛腕に大いに困惑し、ありていに言って吐き気を覚える次第です(汗)。
絶望的なまでに分厚い壁だと思うんですけどねぇ。
『種の壁』
それ程に分厚く、絶望的だからこそ、奇跡的に発生する(あるいはそう錯覚できる)相互理解の瞬間が美しいのだと思うんですけどねぇ。
どうなんでしょうか?
というようなことを考えた今日のZoikhemはこんな展覧会を見ておりました。
『Ashes and Snow』
まずはじめに書きます。
素敵な展覧会でした。
その映像美には息を呑む瞬間が、数え切れないほどに織り込まれていました。
が、公式サイトや会場にも誇らしげに書かれている
『動物と人間の協調』」
には時速300キロの速度で首を傾げざるを得ません。
”動物には豊かな表現力と芸術的感性が備わっていると確信するコルベールは、忍耐づよく撮影にあたり、人間と動物の間で自然発生的に行われた驚異的な交流の姿をカメラに捉えることに成功しました”
だそうですが、Zoikhemにはそうは見えなかったのです。
全く。
Zoikhemには
『天才的な映像作家の頭蓋の中にだけ存在した芸術的なビジョンを、労と資金と時間を惜しまず、現実世界に第三者が鑑賞できる形で作り出した作品』
である様に見えました。
そして其れは素晴らしいことです。
圧倒的な完成度を誇る『フィクション』が素晴らしくないはずがありません。
感動しました。
が。
自然発生的(またもや似て非なる意味での『自然』です)という言葉だけは相応しくないように思えてならないのです。
少なくとも、その映像世界には『ノンフィクション』、つまり『偶然という名の無作為』は微塵も無かったようにZoikhemには響きました。
徹底した人為が尽くされた素晴らしい芸術作品。
其れがZoikhemの感想です。
あれ?
でもここで最初に戻ると。
『ヒトと他の動物種が交流している、あるいは交流しているようにスクリーンのこちら側には見える瞬間を採るために尽くされた人為は無為自然の範疇』のはずですよね。
Zoikhemの言ったことに則すと(笑)。
ならばこれも『自然のノンフィクション』では在るのかもしれませんね。
なーんだ、説明は嘘ではなかった(笑)。
自分の発言には自分で尻を拭かないといかんですからね(汗)。
美しい映像芸術であるのは、確かですので、お時間がある方には一見をお勧めしますです。
展覧会場である博物館を含めてのプロデュースという構想には、非常な刺激を頂きましたし。
いやぁ、イタイ駄文だ(笑)。
影と放尿
Zoikhemの痴作は、徹底できない半端な人為に微妙に支えられたフィクションです(笑)。
仕舞
Zoikhem
Comments
ダイ | 2007/Apr/13 19:24
今回は影にて出演ですね、Zoikhemさん(笑)。
Choyeさんの胸元にチラリと見える「黒ロープ」にグッときています。
チラリズム、この「ヘキ」は人間固有なのでしょうかね?
Zoikhem | 2007/Apr/14 23:46
>ダイ様
物神と同じく、人間独自といいたいところですが、一部の高等類人猿は、直接を廃した性交勧誘が持っているようですし、必ずしも独占物ではないのかもしれません。
人間であっても、チラリを理解できない蛮族も多いですしね(笑)。