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職人の意地

会員棟を更新しました。
昨日お伝えした納期を何とか守りましたです(笑)。
と、この話題はさて置き(重要ですけども)。


11日の駄文でZoikhemが書いている『ある美術館の企画展』。
其のテーマは
フロク〜【少年倶楽部】から【りぼん】まで〜
的な物。
詳しく御知りになりたい方は、上の情報で確認可能なはずです(笑)。

企画展が変わる度に足を運んでいる気もする此方の美術館ですが、今回の展示もまた興味深い物でした。

特に、少年雑誌で一時は必須とも言えた(らしい)おまけである、
ペーパークラフト』。

何事も、人気になるとエスカレートするのは必定と言うわけで、其の最盛期には完全におまけの域を踏み越えた巨大にして複雑な逸品が雑誌に挟み込まれるようになって行ったようであります。

例えば、完成させれば全長50センチを越える『戦艦三笠』とか(汗)。
…現在では横須賀に其の老影を横たえる、かつての大日本海軍の旗艦です。

完成品と並んで、展開図(付属のまま)が展示されていたのですが、此れがまぁ、素晴らしい部品数(笑)。
プロ向きの趣味商品なら兎も角、子供向きのおまけ、の領域は完全に飛び越えた拘りが其処にはありました。

おまけを付けた当の編集部からして
こりゃ無理だろ、子供が作るの
って思ったほどらしいですからねぇ(笑)。

で、完成品の写真が届いて嬉しいやら吃驚するやら、だったとか。


それにしても感嘆するのは、其の展開図の見事さ。
現在なら、CADの類を使えば、立体図をもとに展開平面図を作成するのもあっという間なのかもしれませんが、当時はどう考えても一個一個手作りなはずで(汗)。

もう完全に職人の技、匠の技量、と賞するべき素晴らしい完成度の『ハンドメイド展開図』に、深い感銘を覚えたZoikhemなのであります。

当時は幾人かいらっしゃったのでしょうねぇ…。
斯様なペーパークラフト設計の達人が。
まさに職人技。


科学の発達がもたらす事実には、
個人が一生を賭して獲得した技術の先端を平板化し、無意味化する
という物悲しい側面が厳然と在ります。

其のおかげで、多くの人間が其の利益に服する事が出来る、と言うのは確かなのですが、其の華々しい発展の背後で光を失う『人の技』にこそ、Zoikhemは心動いてしまうようなのです。


技術に誇りを持って生を貫くことの何と困難な事か。
であるからこそ、其の一瞬の輝きは美しいのでしょうけどもねぇ…。

少し歪な『紙製の戦艦三笠』は実に美しかったです。



そういえば。
上で書いた
作り手からして【こりゃ無理だろ】って思いつつ
と言えば、初期の『ストリートファイター@カプコン』の製作秘話を思い出します。

昇竜拳』とかの操作コマンドは狙って出せるとは思っていなかった、と当時どこかの雑誌にインタビューが載ってましたから(確か)。
ガチャガチャと操作している内に偶然に出る、くらいのイメージだったそうです。

ましてや、ザンギエフのスクリューパイルドライバーとかは半笑いで設定したとか(笑)。


実際には、製作者の難易度設定をはるか高く飛び越え昇竜拳どころか、ザンギエフの吸い込み投げも、出せて当然に達していましたからねぇ。
当時の子供たちは。

流石に、ギース・ハワードレイジングストームとか、当時の子供たちからして半笑い…みたいな無茶コマンドもありましたけども。


ちなみに、Zoikhemは現在の格闘ゲーム(をはじめ殆ど全ての筐体ゲーム)には、ほぼ完全に門外漢ですので現在の潮流が如何であるかは存じませんので、突っ込みはご容赦ください(汗)。


今回更新の没画像です。


次回の更新は、何とか季節モノの『曼珠沙華』。
恐らく、Labが続く限りの定番モチーフですからね。
来年も趣向を変えて登場する事でしょう。

仕舞
Zoikhem

Comments

ウェンリー | 2007/Oct/19 23:38

Zoikhemさま、こんばんは。民族衣装を着たChoyeさま、素敵でしたが書きたいこと先に書かれていたので・・・・。
>科学の発達がもたらす事実には、
>『個人が一生を賭して獲得した技術の先端を平板化し、無意味化する』
>という物悲しい側面が厳然と在ります。
データさえ入力しておけば誤差1000分の1mmの金属部品が量産される機械(NC旋盤)がそこいらじゅうに有るご時勢ですから、でもその機械の基本となる水準線は誤差10万分の5mmで、これは人間が手作業で削って仕上げる。
 熟練工になると水準面を指先でなぞるだけでデコボコが分かる、レーザー光線でデコボコを測定するより手の感覚の方がたしか。最後は、やっぱり人間ですって!

Zoikhem | 2007/Oct/20 00:00

>ウェンリー様
全くです、そう願いたいですね。
ただ、現状はそうでも、過渡期を過ぎると…
と歴史を省みると、事実に突き当たってしまうのも確かなわけで。

今誇りを持って立てる職人氏と、50年前に誇りを持って立てた職人氏の職分、技術は違うんですよねぇ(汗)。

まぁ、今その時代で腕を磨くしか、結局は無いわけですけども。

ダイ | 2007/Oct/21 00:28

懐かしいゲームの話題が出てきましたね。
ザンギエフが出てきた「U」は、まだマシな方ですよ。
問題は最初のストリートファイター。
「昇竜拳」どころか「波動拳」すら難しい。
近くの駄菓子屋で幾ら小遣いを削られたか(涙)
今になって、リベンジしたくなってきましたよ!

Zoikhem | 2007/Oct/22 23:55

>ダイ様
今なら大人力でどうとでもなるのでは(笑)?
駄菓子屋のゲーム、懐かしいですねぇ。

てるる | 2007/Oct/24 21:51

Zoikhem様、ウェンリー様
>科学の発達がもたらす事実には、
>『個人が一生を賭して獲得した技術の先端を平板化し、無意味化する』
>という物悲しい側面が厳然と在ります。

未だに職人にこだわり、若人と交わる(色々な意味で…)私としては痛い言葉かもしれません
調教もある意味職人技のような気がしませんか?

Zoikhem | 2007/Oct/24 22:46

>てるる様
Zoikhemの筆が至らない所為で、ご不快な思いをさせてしまい申し訳御座いません。

ただ、上でも書いておりますが
『技術に誇りを持って生を貫くことの何と困難な事か。
であるからこそ、其の一瞬の輝きは美しいのでしょうけどもねぇ…。

少し歪な『紙製の戦艦三笠』は実に美しかったです。』

こそがZoikhemの本来言いたい事です。
文章の順番からもお判り頂けると思います。

『進歩』の持つ強烈な『地均しパワー』を無視する事は出来ませんが、それでもなお『人の技』の輝きを愛している、とご理解くださいませ。
ウェンリー様の文意も、寧ろ人の技を重視しているようですし結局は同じ価値観なのかもしれません。

で。
Zoikhemのやっている事などは恐れ多くて到底、職人技などとは申せません(汗)。

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