2006/Feb/11 Sat | Zoikhemの必修
狩りのためのデコイ
最近見たちょっと、胸にチクリと来るニュースから。
直ぐにURLを整理されそうですから、一応抜粋(汗)。
「 ◇増殖作戦は成功…「今度こそ本物の恋を」−−山階鳥類研究所が確認
伊豆諸島の鳥島（東京都）に生息する国の天然記念物・アホウドリの「デコちゃん」（雄・推定年齢１３歳）＝写真左＝が、島営巣地内に設置されたプラスチック製の実物大模型の「デコイＮｏ２２」を本物の雌と思い込み、約９年間も求愛行為をしていたことが５日、山階鳥類研究所（我孫子市高野山）研究チーム主任の佐藤文男研究員（５３）によって確認された。「Ｎｏ２２」は５月に撤去される予定で、デコちゃんの熱愛は“実らぬ恋”として終結する。
尖閣列島生まれの若鳥（当時４歳ぐらい）の雄が模型のアホウドリ「Ｎｏ２２」に求愛ダンスを繰り返す姿が確認されたのは９７年。１１月に導入された世界初の人工衛星を使った「希少鳥類生態監視システム」の２台のカメラから送信される画像で分かった。佐藤さんらはこのアホウドリを「デコちゃん」と命名した。
デコちゃんは毎年１１月の産卵時期に帰島。必ず「Ｎｏ２２」の元に現れては、愛の巣作りと求愛行為を行っていたことが送信画像と現地調査で確認された。雌の模型は他に９２個あったが、デコちゃんが寄り添うのはいつも「Ｎｏ２２」。別の雄アホウドリが「Ｎｏ２２」に近付いて求愛ダンスした時、激しく威嚇する“悲姿”もあったという。
９１年、環境省委託事業としてアホウドリ増殖事業「デコイ作戦」が開始。絶滅危機にある鳥島のアホウドリを救うために人工的な新しい営巣地を初寝埼地区に作り、アホウドリの鳴き声を流すスピーカーと９３個の模型デコイが設置された。
佐藤さんは「模型に９年間も求愛した例は聞いたことがない。今度こそ、デコちゃんは本物のアホウドリに恋をしてほしい」と話している。【大矢武信】
２月６日毎日新聞」
抜粋終了。
美しい話だなぁ、とZoikhemなどは沁み沁みとしてしまいます。
あはれ、と感じ入ってしまうのです。
増殖を志す、研究者の方々の苦労は理解出来ますが、それとは別の次元で美しく思えるのです、この物語は。
佐藤氏の発言が「「模型に９年間も求愛した例は聞いたことがない。今度こそ、デコちゃんは本物のアホウドリに恋をしてほしい」」で良かった。
『本物の恋をしてほしい』だったら、軽く不幸の手紙でも送っているところです(笑)。
つまり、何が言いたいかと言うと。
何に心を打たれたかと言うと。
『こういう恋もあるのだなぁ』と。
相手が、同性だから、年齢が釣り合わないから、社会的地位が違うから、死んでいるから、兄弟だから、ゲットーだから、国籍が違うから、宗教が相容れないから、そして、作り物だから。
こんな外野の雑音は『想いの無謬性』に比べたら、全くの糞だと。
このアホウドリのデコちゃんの行動を笑う奴がいたら、其の瞬間、Zoikhem振り下ろされれんとする、渾身の拳と化すでしょう。
Zoikhem自身が色々な意味でマイノリティーであると言う自覚(其れは自負と自戒に繋がるわけですが)があるからこそ、斯様な『想い』に強く琴線を震わせられるのかも知れません。
世界の全てから愛されるわけでなく、それどころか、世界に強い孤独感を有するからこそ、強く執着する一つの想い、関係。
Zoikhemはそうやって生きてきました。
そうやって死んでいくでしょう。
九年間届かぬ想いを暖め続けたアホウドリのデコちゃん。
今年の暮、『彼女の死』に接しても、彼の想いは残り続ける、そんな気がします。
アホウドリにとっての９年って、人間に取ってどれほどの時間に当たるのでしょうね。
さて。
多頭飼いが何をいうとんのじゃ、この純情気取りが！と言うご批判には全く返す言葉がありません(汗)。
矛盾もまた人の素敵さと言う事で、お納めくださいませ(笑)。
Toris様に連鎖
昨日頂いた投稿に連動してみました(笑)。
今日は少し多めに。
この近くの植物園も、気持ちの良い場所です。
仕舞
Zoikhem
Comments
ねこかぶり | 2006/Feb/11 19:35
＞こういう恋もあるのだなぁ
森鴎外のじいさんばあさんはいかがでしょう。
あるいはスタンダールの「カストロの尼」。これは大好きなのですが、映画化されてますでしょうか、どなたかご存じでしょうか。大谷崎がこの小説が好きと聞いて谷崎まで好きになりました（細雪は元から好きですが）。
結晶作用 この言葉にはいかれますよね。
映画なら、
「ジェニーの肖像」
「ある日どこかで」（昔々に見て、ちょっと良い作品だなと思っていたら、最近調べてみるとえらくフリークが大勢いらっしゃるので驚きました。）
後うんと古いところで、「忘れじの面影」
Zoikhem | 2006/Feb/11 19:57
＞ねこかぶり様
「カストロの尼」はまさに其れを指す訳ですよね(汗)？
Zoikhemが読んだ事があるのは、角川の文庫だった様な気がしますけども、タイトル以外の作品が記憶に濃いです(汗)。
いずれにしろ、Zoikhemには余りなじまなかったなぁ(汗)。
「ある日どこかで」と言えば、クリストファー・リーヴ。
観た覚えは在りますが、余り記憶に残っていません(大汗)。
Zoikhem | 2006/Feb/11 20:05
追加。
スタンダールは、『小説以外』の方が好きです。
らしいでしょ(笑)？
ねこかぶり | 2006/Feb/11 20:33
＞「カストロの尼」はまさに其れを指す訳ですよね(汗)？
イタリア年代記の中のカストロの尼 エレナ・ダ・カンピレアーリと、ジュリオ・ブランチフォルテの物語でございます（汗）。「まさに其れ」がちょっと気になるのですが、他の短編ならどれがお好みでしょう（笑）。
追加して言えば、パルムの僧院ファブリスのことを志賀直哉が「ただの無頼漢の話だろ」と言ったと又聞きして、どうも志賀直哉好きではございません。
恋愛の四分類、恋の七つの過程Zoikhem様は今どの段階で（笑）？
「目前に現れるあらゆることから、愛する相手が新しい美点をもつことを発見する精神の作用」
この言葉に免じて、ねこはChoye様に恋してると言わして頂いてよろしいでしょうか（笑）。
他にも候補者多そうですね、告白タイムがあれば「ちょっと待ったぁ」と声がかかりそう（古いか 笑）
Toris | 2006/Feb/11 21:17
Zoikhem様、Choye様へと通じる扉にわたくしめなぞの名を冠して頂き誠に以って恐縮しきり、有難う御座いました。
それにしましても素晴らしき傑作揃い、わたくしめなぞの
愚作など足元にも及びません。場所も微妙に違いますし…
Zoikhem様＝東洋ドーム、愚作＝お京ドム。（笑）
と、ふざけていられないのが本日の内容。
本当に『胸にチクリと来るニュース』ですね。
『「Ｎｏ２２」の不撤去を』…などと言うのは早計なのは充々承知、春以後のデコちゃんの事を想うと胸が締め付けられます。
Torisの耳に祇園精舎の鐘の音が響いてきました…
過の高僧の今際の際の一言を思い出しました、
『まあ、さてあらん。』…
ねこかぶり | 2006/Feb/11 22:04
＞Torisの耳に祇園精舎の鐘の音が響いてきました
Toris様、ねこかぶりは、最後の言葉では「見るべき程のことは見つ。今は」が好きです。
横から失礼しました。
Zoikhem | 2006/Feb/11 22:22
＞ねこかぶり
四分類には反対の立場のZoikhemです(笑)。
というか、読み物としては面白いですけど、ブンガクですからねぇ、結局は(褒め言葉)。
こういう話題だと稲垣足穂とか踏み込んで引かれそうですね(汗)。
Zoikhem | 2006/Feb/11 22:24
＞Toris様
消しの位置次第で多少面白いかな、と(汗)。
「今際の極に言ってやる」
これも愛の名言。
Toris | 2006/Feb/11 22:24
>ねこかぶり様
『…自害せん』ですね。
はじめましてTorisと申します。宜しくお願い致します。
でも、その前に一言、
『ちょと待っただあぁあああ！！』（笑）
Zoikhem | 2006/Feb/11 22:24
＞ねこかぶり様
其の下りはZoikhemも大好きです。
ご先祖様万歳(汗)。
ねこかぶり | 2006/Feb/11 23:47
おーと、いきなり「ちょっと待った」コールがかかった（笑）。
Toris様 こちらこそよろしくお願い申し上げます。
後一体、何人ちょっと待ったがかかるんでしょう（汗）。
Zoikhem様
＞ご先祖様万歳(汗)。
日本人一般としての？
ひょっとして、落ち武者部落のご出身ですか（笑）。
ばあちゃんによれば、源氏の出身だそうですが、何か（笑）？
牛蒡 | 2006/Feb/12 21:33
やられました。ぶり大根の仇を恋愛話で討つ
恋愛、女性体験は語るほど、無いので
コメントは控えます。
もしよろしければ
Zoikhemさんの遍歴や調教のコツを伺いたいです
SMへの目覚めなども。
ニャン２の記事では語り足りないと思いますので
Zoikhem | 2006/Feb/13 00:02
＞Toris様
こうして、皆様の交流を眺めるのも実に嬉しいものです。
chatや別系統の掲示板も作りましょうかねぇ…。
Zoikhem | 2006/Feb/13 00:03
＞ねこかぶり様
まぁ、そんなところです(汗)。
Zoikhem | 2006/Feb/13 00:04
＞牛蒡様
では、次回から少し昔語りでも。
いや、次回かどうかは怪しいですけども(大汗)。