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カンビュセスの籤

先日『22XX』を話題に取り上げたら、予想を超える反響を頂きました。

直接の書き込み以外にも、メールでも様々な方から興味深いご意見を頂きました。
MAX様に於かれましては入手して頂きましたしね(汗)。

有難い事です。
不遜な言い方が許されるならば「発信は受信されて初めて発信足りうる」とも思いますし。

エロスを公開するという、構造矛盾(まぁ、この矛盾に親和性を御持ちの方は少ないでしょうけども)を抱え自覚しつつも、発信を止められないZoikhemです。


其れはさて置き。
今日のタイトルは、22XXよりもピンと来られる方は多い事と思います。
カンビュセスの籤
史実に(や其れに基づく挿話)でご存知の方もいらっしゃると想像します。
が、其れを倍する知名度をZoikhemは想定しております。

カンビュセスの籤藤子・F・不二雄の作品名でもあるのです。

22XXからの文脈で紹介する、と言う事はつまりそういう事です(笑)。
全く同じ方向を向いている作品ではありませんが、現在に於いてもなお非常にショッキングな題材を取り上げている為、時に同列の作品とされることも在るみたいですしね。

人肉食

書くと矢張り凄みがありますね。


藤子・F・不二雄では、『ミノタウロスの皿』が圧倒的な知名度があると思います、人肉食をテーマにしている作品としては。
ただ、ミノタウロスの皿が、微妙に間接的で、そして相互の不理解でもって最終的に着地しているのに比べ、カンビュセスの籤は更に直接的で着地点も、遥かに高踏であると思うのです(良かれ悪しかれ)。

ミノタウロスの皿では、主人公の鈍重な事にいらいらしますが、カンビュセスの籤では、主人公の透明性にはらりと落涙してしまうZoikhemなのであります(汗)。

22XXのテーマにも近い、『生殖による生命の連続性ではないもう一つの可能性』には、宿命的に惹かれるところがあるみたいですねぇ。

例によって、未読の方に読んで頂きたいという想いを込めて、余り深くは踏み込みません(汗)。
遺憾です(笑)。


それにしても藤子・F・不二雄の短編集を読むと、其の暗黒に心を震わせられるなぁ。

特に、彼が何度も何度も繰り返し採用する、「生殖の義務を終了した後の男性性の無為性」には、多少の筆を割きたいので明日以降機会があれば書いてみたいと思います。

人口爆発や食糧危機と絡めつつも、居場所を失うのは必ず壮年層以上の男性ですからねぇ、彼の短編では。

実に興味深いです。

ぱっと見、人肉食への一段階

仕舞
Zoikhem

Trackbacks

Comments

ねこかぶり | 2006/Feb/28 20:39

>22XX
mission completed.
観覧車好きになられた一因でしょうか?

Zoikhem | 2006/Feb/28 21:02

>ねこかぶり様
おぉ、ねこかぶり様まで。
如何でした?

観覧車好きには、余り影響していないかと思います(笑)。
一番大きな影響は、間違いなく『ハチクロ』でしょうねぇ、近作過ぎますが、と言うか連載中ですが(汗)。

ウェンリー | 2006/Feb/28 22:30

 Zoikhem様、こんばんわ。別件では大騒ぎしてご迷惑をお掛けしました、お詫び申し上げます。
 「人肉食」と聞いて思い出すのは、5年前に見た「FGMに関する緊急通信」と言うサイト、女性のクリトリス割礼の話のはずが読んでいくと、「食物連鎖の頂点の人間を捕食して食べる事の出来るのは人間しかいない」となり、人肉食の話だらけと言うサイトでした(このHPは閉鎖された)。
 でも、人間が人間を食べたら牛みたいに変異性ヤコブレフ病が蔓延して絶滅したりして。アマゾンの人食人種と呼ばれた人たちにも、この手の病気が有った。と報告例があったらしい。

Zoikhem | 2006/Feb/28 23:22

>ウェンリー様
いえいえ、チェックする良い機会になりましたし(笑)。
お気になさらずくださいませ。

そのサイト、Zoikhemも観た事があります。
5年も前になりますか…。

それにしても、仮に同種の交互捕食が特殊な病を生むとしたら(この定義にはZoikhemは、少々懐疑的ですが)、其の『原因』と言うか、もっとブンガク的に『意味』は何なんでしょうね?

starless | 2006/Mar/1 00:00

うーん、昔、一時話題になった『41歳寿命説』の著者・西丸震哉氏の著書『山だ原始人だ幽霊だ』にニューギニアの人喰い人種に脳がグサグサになる病気があるって書いてありましたね。ガキ向けの世界の不思議集みたいな本(今でもこんなのがあるのかどうかわかりませんが)にも「脳が溶ける奇病」があると書かれてるのを見たことがあるのでかなり古くから存在はしてたんでしょうが・・・
西丸氏の本はメチャクチャな内容ですが、人喰い人種の行為をのぞき見しようとしてニオイで判別したとか霊能力で強制放水とか訳ワカメなことが書かれててそれなりに楽しめるかもしれませんね。
角川文庫にも入っていたそうですが。

Zoikhem | 2006/Mar/1 00:10

>starless様
読んでみたいですねぇ(笑)。
そのてのトンでも百科系大好きなんですよ。
双葉社のとか大量に持ってたなぁ、少年百科もの。

あと小学校の図書館にあった、毒が染みついてそうなグダグダな表紙の、半ばカストリな『世界の秘密結社』とかを愛読しておりました(笑)。

それにしても、同種捕食の意味…。
深いテーマです。

牛蒡 | 2006/Mar/1 00:25

人肉食ですか
事実に近い話で?ありましたのが
映画にもなりました
アンデス山中の飛行機遭難事件や『ひかりごけ』とか。
こういう話題だと、長寿やアンチエイジングも
人間だけがしたがる行為では?

筒井康隆の新作「銀嶺の果て」おもしろそうですね。

Zoikhemさん、ウェンリーさんも見ていましたか、アノHPを。
自分は宦官や纏足で行き着きました

ねこかぶり | 2006/Mar/1 00:30

>如何でした?
ありきたりですが、少し泣きました。
今のところは、なかなか言葉が出ないです。肉と同じく物語も時とともに私の一部となり、再び言葉になるやと。

ご紹介ありがとうございました。私の記憶の宮殿に納め発酵を待ちたいと思います。

「スターリ○グ捜査官、記憶は、私が眺望の代わりに持っているものなのだ。」

Zoikhem | 2006/Mar/1 00:34

>牛蒡様
ひかりごけ、は映画も舞台も観た事があります。

アンチエイジングには色々な側面がありますが、文字通り長寿を意味するなら、其れは非常に男性的側面であるとZoikhemは思います。

種への信頼が薄く、個への執着が強い。
これは人間だけではなく、かなりの哺乳類で見れる、しかも概ね雄に典型的な傾向であるかと。

更に言うなら、同性愛者には宿命的な個への執着を感じ、その意味で『超雄』と言う感じもします(反論が山ほど来そうですが)。
此れは実はZoikhemの憧れで在ったりしますけども。

と言ってもこんな抜粋の極の様な書き方では、意味不明なだけですね(汗)。

またいずれ書こうかな、と。

Zoikhem | 2006/Mar/1 00:36

>ねこかぶり様
やった、ねこかぶり様を泣かせたぞ(汗)。

なるほど、創作物も『血』と同じく、時に『魂の通貨』かもしれませんね…。
いずれ肉となる、か。
救いの福音を頂いたかもしれません。

nekokaburi | 2006/Mar/1 22:28

>やった、ねこかぶり様を泣かせたぞ(汗)。

ねこかぶり | 2006/Mar/1 22:33

すいません。日本語入力になって無くて、リターン一発でいきなりメールが手を離れました(汗)。

>やった、ねこかぶり様を泣かせたぞ(汗)。
泣かすのなんて分けないんですよ(笑)。深剃りの効く4枚刃でひげを剃るとか、命の次に大事な生爪を剥がすとか、熱いトタン屋根の上に乗せるとか、されたらすぐ泣いちゃいます(笑)。

Zoikhem | 2006/Mar/1 22:51

>ねこかぶり様
熱いトタンの上はZoikhemも泣いちゃいますね(笑)。
今日は秋葉原駅前での『光景』に涙しました。
内容はまたいずれ。

ねこかぶり | 2006/Mar/1 23:07

>ありきたりですが、少し泣きました。
今読み返して、少し誤解を招く言い回しだなと(汗)。
「ありきたりの反応ですが」のつもりです。
推敲不足でございます。
物語は心に複雑な化学反応を呼び起こす傑作です。

一日経って、いまは古い曲ですが「リフレインが叫んでる」思い出すんです。
「どうして、どうして、僕たちは      」

Max | 2006/Mar/2 19:06

22XX読みましたです。
確かに色々考えさせられる話ですね。
精神と肉体は、不可分一体なのかとか、
本能を超越できるのが理性なら、
人を食べるのは、むしろかなり理性的なのかとか。

主人公が人間でないというのが、また捻りが効いていますね。
さらに考えてしまいます。
ジャックは果たして左手を食べるべきだったのか?

清水玲子の他の作品を引き続き読んでみようと思っています。

『カンビュセスの籤』って、これまた読んだことないです(汗)
これまた探して読んでみます。
藤子・F・不二雄先生は確かにすごい暗黒ぶりですよね〜。
私が覚えているのは、世界中が吸血鬼になっちゃう話です。
主人公は最後まで抵抗して、絶対に吸血鬼にならないと言うんですが、最後結局吸血鬼になって、
「最高に気分がいい」みたいな事を言うところで、ゾッとしました…
藤子・F・不二雄先生の絵が無邪気っぽいので、余計に怖いんですよね…
おまけにエロいし(笑)
エスパー魔美で、小さい頃興奮していたのは秘密です(^^ゞ

これからも、Zoikhemさんの心の琴線に触れたものがあったら、どんどん紹介して下さい〜♪

>Spring様へ
先日の書き込みですが、ダグラム、今現在友達に借りて見ています(笑)
32話くらいまでいきました。
全部見終わったら最終回の内容書きます♪
と言っても、ウェンリーさんが書いた通りなのかもしれませんが…(汗)

Zoikhem | 2006/Mar/4 20:19

>ねこかぶり様
楽しんで頂けたようで何よりです。
ねこかぶり様の真意は良く判っております(汗)

Zoikhem | 2006/Mar/4 20:27

>Max様
人間で無い主人公(と言うか生き物ですらないですが)だからこそ、テーマ設定が明瞭になっている気もします。
いずれにしろ、鋭い作品、鋭い作者である事は間違い無いかと。

因みにZoikhemは『左手食べるべき派』です。

更に因みに、ご指摘の藤子・F・不二雄の作品は「流血鬼」かと。
Zoikhemは、あのエンディングにはぞっとしません。
むしろ、HAPPYENDと受け取っています(笑)。

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